大田区「老いじたく情報登録事業」とは?無料で使えるもしもの備え|ひらつか葬祭通信 Vol.7
📮 ひらつか葬祭通信 vol.7

📝 約2,550字 / ⏱ 読了目安 約5分

大田区「老いじたく情報登録事業」とは? ―無料で使える”もしもの備え”

今回は、大田区が2024年7月から実施している「老いじたく情報登録事業」についてお伝えします。あくまで大田区独自の制度で、対象は大田区に住民登録のある65歳以上の方に限られますが、品川・港・目黒・世田谷など隣接エリアでも今後こうした制度が広がる可能性があり、動きとして知っておいて損はありません。

→ 大田区在住の65歳以上なら、緊急連絡先やエンディングノートの保管場所などを区に無料登録できる制度です。
世田谷区の「えんのつづき」(月額1,000円の見守り・生前契約支援サービス)とは性質が異なり、こちらはあくまで情報を区(福祉管理課)に預け、いざという時に警察・消防・医療機関・区の福祉窓口へ橋渡しする”情報登録・連携”に特化した仕組みです。
目次

1. どんな制度か

大田区に住民登録のある65歳以上の方が対象で、登録料は無料です。ご本人の判断能力が低下している場合などは、成年後見人が代理で申請することもできます。申請は大田区役所8階の福祉管理課窓口、または郵送で受け付けています。登録した情報は、本人が病気や事故で意思表示できなくなった時や死亡時に、登録者があらかじめ指定した方のほか、警察・消防・医療機関・区の福祉関係機関へ区から提供される仕組みです。

2. 登録できる情報の中身

必須項目は、氏名・住所・生年月日、電話番号、緊急連絡先、本籍・筆頭者、かかりつけ医療機関、既往歴・現病歴の6つです。これに加えて、任意項目が6つあり、1項目から登録できます。

任意項目には、リビングウィル(延命治療・終末期医療の意思)の保管場所、エンディングノートの保管場所、任意後見契約の契約先、死後事務委任契約・生前契約の契約先、遺言書の保管場所、お墓の所在地が含まれます。実際の書類の原本を区が預かるのではなく、あくまで「どこにあるか」という保管場所情報の登録という点がポイントです。

3. 他区の類似サービスとの違い

世田谷区が2026年7月に開設した「えんのつづき」は、月額1,000円で見守りや生前契約の相談支援まで伴走してくれる、いわば事業型のサービスです。一方、大田区の「老いじたく情報登録事業」は無料ですが、区が情報を預かり必要な時に関係機関へ橋渡しするだけの”情報の窓口”であり、日常的な見守りや相談支援までは含みません。

品川区にも「あんしんの3点セット」(品川区社会福祉協議会による、見守り訪問・任意後見契約・遺言作成支援のパッケージ、有料)があり、こちらも大田区より踏み込んだ支援型のサービスです。どちらが優れているというより、無料の情報登録型(大田区)と、有料の伴走支援型(世田谷区・品川区)という、性質の異なる制度が城南隣接区でそれぞれ動き始めている、という点に注目しています。

4. 「もしもの時」に備えて

もしもの時によくあるのが、「エンディングノートは書いていたはずなのに、どこにあるか分からない」「かかりつけ医が誰だったか家族が知らない」といった混乱です。これは救急搬送や入院の場面から、葬儀に至るまで一貫して起こりうる問題です。大田区のこの制度は、そうした情報の在り処を区という第三者に登録しておくことで、いざという時に家族や関係機関がスムーズに動けるようにする狙いがあります。

もちろん、遺言書や死後事務委任契約の書類そのものは別途、ご家族や専門家と保管場所を共有しておく必要があります。区の登録はあくまで「保管場所を伝える連絡窓口」であり、内容そのものを保証するものではない点はご留意ください。大田区在住で65歳以上の方はご本人・ご家族での活用をご検討ください。品川・港・目黒・世田谷にお住まいで同様の制度がまだない場合も、エンディングノートの保管場所やかかりつけ医の情報だけは、ご家族と共有しておくことをおすすめします。

5. 事前相談で必ず伝えている5つのこと

こうした区の登録制度は「情報の保管場所」を伝える仕組みですが、実際の葬儀の場面でご家族が困らないためには、もう一段具体的な準備が必要です。ひらつか葬祭の事前相談では、次の5項目を必ずお伺いしています。

  • ご安置場所について(ご自宅か、専用の安置施設に預けるか)
  • 遺影写真の候補(1枚に絞り込まなくても大丈夫です。「これもいいな」というものを何枚か見せていただく程度で結構です)
  • 最後にお着せしたいお召し物のご用意(ひらつか葬祭では、ご年配の方であっても女性のお身体に触れる場面は女性スタッフが対応するよう心がけています)
  • 「ワンデイ葬儀」をご希望の場合の菩提寺への確認(仏式で近年増えている、通夜を行わず葬儀・告別式のみを行う形式です。菩提寺とは、お墓を管理し葬儀の司式・読経を行うお寺のこと。お寺様によっては「通夜がない葬儀はあり得ない」というお考えの方も、昔から一定数いらっしゃいます)
  • お好きなお花・お色・聖句など(カトリックの方であればお好きな聖句〈聖書の言葉〉など、その方らしさが表れるご希望)

区の情報登録と、こうした実務レベルの準備は、いわば両輪です。どこに何があるかが分かっているだけでなく、当日どうしてほしいかまで言葉にしておくことで、ご家族の迷いはぐっと減ります。

まとめ

大田区「老いじたく情報登録事業」は、無料で登録できる分、あくまで「情報の在り処を伝える窓口」にとどまる制度です。それだけで安心せず、書類の中身や当日の希望まで、ご家族や信頼できる相手と言葉にしておくことが、いざという時の混乱を防ぐ一番の備えになります。大田区にお住まいの方は登録を、他区にお住まいの方も情報の共有だけは、ぜひこの機会にご検討ください。

ひらつか葬祭|東京城南エリア(品川・港・目黒・大田・世田谷)対応
お問い合わせ:LINE公式アカウント・お電話にて承ります