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今回は、不動産価格の高騰と相続税の関係についてお伝えします。「評価額は市場価格より低いから安心」——実は、その常識はもう古くなりつつあります。地価の上がり方を見ていると、そう感じることが増えました。
▶ 「評価額は市場価格より低い」という節税前提は、2024年の改正で崩れつつあります
▶ 地価上昇で評価額が上がり、課税対象になる家庭が増えています
▶ 不動産中心の遺産は、評価額が上がっても現金は増えず「納税資金不足」に陥りやすくなります
【目次】
1. 「評価額は市場価格より低い」、その常識が変わった話
2. 2024年、マンションの評価ルールが変わった
3. 気づかぬうちに近づいてくるボーダーライン
4. 一番の悩みどころ:納税資金(現金)の確保
5. 自宅の評価を抑える「小規模宅地等の特例」
6. まとめ
1. 「評価額は市場価格より低い」、その常識が変わった話
相続税を計算するときの不動産の評価額は、これまで市場価格よりだいぶ低く出るのが当たり前でした。特にタワーマンションはその差が大きく、節税に使われることも珍しくありませんでした。
国税庁の資料によれば、2024年の改正前は、市場価格に対する評価額の割合が戸建てで約60%だったのに対し、マンションでは約42.7%にとどまっていました。
📐 例えば、市場価格1億円の不動産なら(改正前)
🏠 戸建て:評価額 約6,000万円(60%)
🏢 マンション:評価額 約4,270万円(42.7%)
マンションの方が「評価額と時価の差」がより大きく、その分だけ相続税の課税対象になる財産が少なく見積もられていたわけです。
2. 2024年、マンションの評価ルールが変わった
この差が大きすぎることが問題視され、令和6年(2024年)1月1日以降に相続・贈与で取得したマンションについては、評価額が市場価格に近づくよう補正される仕組みに変わりました。改正後は、市場価格との乖離が大きい物件ほど評価額が引き上げられ、タワーマンションに限らず、乖離のある物件は幅広く対象になっています。
問題視された理由は「税収が減るから」というより、税負担の公平性でした。借入をしてタワーマンションを購入し、評価額を大きく圧縮して相続税をほぼゼロに近づけた事例が2022年に最高裁まで争われ、国側の主張が認められています。同じくらいの資産でも、現金や戸建てで持つ人とマンションを買って持つ人とで税負担に大きな差が出てしまう——この不公平さが是正の背景にあります。「42.7%」は今の数字ではなく、”それが低すぎたから是正された”という改正前の数字だとご理解ください。
3. 気づかぬうちに近づいてくるボーダーライン
路線価は毎年見直されますが、地価上昇のスピードには少し遅れて反映されます。城南エリアのように地価上昇が続く場所では評価額も年々じわじわ切り上がり、「うちには関係ない」と思っていたご家庭が、いつの間にか基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)のボーダーラインに近づいている、というのはよくあることです。
4. 一番の悩みどころ:納税資金(現金)の確保
不動産の評価額が上がれば相続税も上がりますが、相続税は相続開始から10か月以内に現金で納めるのが原則。遺産の大半が不動産で預貯金が少ない場合、「評価額は上がったのに、払うお金がない」という状況になりやすいのが実務上の悩みどころです。延納や物納という制度もありますが要件は厳しく、実際には不動産を売却して納税資金を作るご家庭も少なくありません。
5. 自宅の評価を抑える「小規模宅地等の特例」
自宅の土地は、一定の要件を満たす相続人が引き継ぐ場合、330㎡までの部分の評価額を80%減額できる特例があります。地価が上がるほどこの特例の有無で納税額に大きな差が出るため、「誰がその家に住み続けるか」という話し合いの重要性も増していきます。
6. まとめ
「評価額は市場価格より低い」という前提が崩れ、評価額そのものも上がり、なのに手元の現金は増えない——不動産価格の高騰は、相続にこの3つのねじれをもたらしています。「評価額が上がって大変ですね」で終わらせず、この両面を意識してご相談に乗ることを、これからも大切にしていきたいと思います。個別の評価や税額は専門的な判断が必要になりますので、心配ごとがあれば早めに専門家へご相談ください。
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