ひらつか葬祭通信Vol.9。互助会完納と葬儀費用の関係をテーマに、「互助会完納=葬儀が安くなる、は勘違いです。」と伝えるアイキャッチ画像
📮 ひらつか葬祭通信 vol.9

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今回は、国民生活センターが公表した葬儀費用トラブルの実例をもとに、「説明義務」というテーマについてお伝えします。

▶ 問題視されたのは「金額の高さ」そのものではなく、「選べる余地があったことを伝えなかった」こと。
▶ 葬儀後に契約を取り消して全額返金を求めるのは、法的にもかなり難しい。
▶ だからこそ、金額と選択肢の確認は、契約前の打ち合わせの場でしかできません。

【目次】
1. 何が起きたか
2. そもそも論:互助会は「積立貯金」ではない
3. 遺族と業者、食い違う主張
4. 葬儀後の全額返金は、なぜ難しいのか
5. 一人経営の葬儀社として、意識していること

1. 何が起きたか

父親を亡くされた遺族の方が、互助会の掛金を完納していたため、大きな追加費用は出ないだろうと考えていました。ところが打ち合わせの中で、必要性を感じていなかった湯灌(ゆかん)を「普通はされますよ」という一言で受け入れることになり、さらに「会館への移動があり時間がない」と急かされる形で、親族と相談する余裕もないまま話が進みました。結果、互助会の補償額を差し引いても、約95万円という請求になったといいます。

葬儀後に業者へ問い合わせたところ、「予算を事前に伝えてもらえれば、別の会場で対応できた」という説明を、初めて受けたそうです。

2. そもそも論:互助会は「積立貯金」ではない

今回のケースの根っこには、「互助会に完納していれば、大きな追加費用は出ないはず」という思い込みがあったように見えます。ここで一度、互助会という仕組みそのものを整理しておきたいと思います。

互助会は、会員が少額の掛金を前払いで積み立て、いざという時に契約に基づいた役務(サービス)の提供を受ける、相互扶助の仕組みです。積み立てた金額がそのまま「使える予算」として貯まっていく積立貯金とは、性質がまったく異なります。

掛金を完納したというのは、いわば「基本プランの前払いチケットを手に入れた」状態です。では、その「チケットの対象外」になりやすいのはどの部分なのか。葬儀にかかる費用は、実は大きく6つに分かれています。

① 葬儀社への支払い費用

葬儀社への支払い費用に含まれる祭壇や棺などの物品(互助会でカバーされやすい部分)

祭壇、寝台車、霊柩車、お棺、遺影写真、ドライアイスなど。「プラン価格」は主にこの部分です。

互助会でカバーされやすい

② 式場使用料

式場の内観(互助会の対象外になりやすい費用)

火葬場併設の式場、区営斎場、寺院の貸式場など、会場そのものの使用料です。

対象外になりやすい

③ 飲食接待費

通夜料理や精進落としの盛り合わせ(互助会の対象外になりやすい費用)

通夜料理・飲み物・配膳係、精進落としのお料理などです。

対象外になりやすい

④ 返礼品

返礼品のお礼状やのし箱(互助会の対象外になりやすい費用)

お礼状、会葬御礼品、香典返し(当日返し)。人数によって金額が変動します。

対象外になりやすい

⑤ 火葬場費用

火葬炉と骨壺(互助会の対象外になりやすい費用)

火葬料、収骨容器、火葬待合室の使用料などです。

対象外になりやすい

⑥ 宗教者への費用

合掌する施主と宗教者(互助会の対象外の費用)

お布施・祭祀料・献金など。金額は葬儀社では算出できず、直接の確認が必要です。

対象外

互助会がカバーするのは、多くの場合①葬儀社への支払い費用の部分だけです。②〜⑥は式場・料理業者・火葬場・宗教者など、互助会や葬儀社とは別の相手にお支払いいただく費用で、契約の対象外であることが少なくありません。今回のケースで積み上がった約95万円という追加費用も、この②〜⑥にあたる部分だったと考えられます。

▶ 互助会に入っているからといって、葬儀費用の心配がすべてなくなるわけではありません。
▶ 完納が意味するのは「①葬儀社への支払い費用の部分を、先に払い込んである」ということだけです。

この前提を遺族側と業者側がきちんと共有できていたかどうかが、今回のトラブルの分かれ目になったのだと思います。

3. 遺族と業者、食い違う主張

遺族側は「特典充当についての説明がないまま選択を迫られた」と主張し、業者側は「価格や控除額は説明済みで、希望会館は宗旨や立地の関係から対応できなかった」と反論しました。仲介委員は「遺族の希望に沿う会館という選択肢を示さなかった点で説明義務に反する」として約40万円の返金を検討する和解案を示しましたが、業者が拒否し、手続きは不成立に終わっています。

弁護士のコメントによれば、葬儀後に契約全体を取り消して全額返金を受けることは実務上かなり困難とのことです。すでに行われた葬儀の費用は清算上考慮されるため、現実的には不要なオプション代や、説明があれば選んだはずの内容との差額を求める形になりやすいそうです。終わった後からでは、取り返せる範囲が限られるということです。

5. 一人経営の葬儀社として、意識していること

葬儀は、遺族が動揺した状態で、限られた時間の中で比較経験の少ないサービスを選ぶ取引です。だからこそ、①〜⑥のどこまでが互助会や見積りの対象で、何が別途費用になるのかを、通常より丁寧に伝える必要があると理解しています。

ひらつか葬祭は一人で運営している分、打ち合わせに別の担当者が入ることがありません。よくある提案であっても必要かどうかをこちらから押し付けず、まずご予算とご希望を伺ってから選択肢をお示しするようにしています。

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