東京23区に公営の火葬場が新設へ? 火葬料と今後のこと(ひらつか葬祭通信 号外)
📝 ひらつか葬祭通信 号外(火葬場新設)

📝 約2,400字 / ⏱ 読了目安 約4分 / 2026年10月14日時点の情報です

東京23区に公営の火葬場が新設へ? ―火葬料はなぜ高いのか、今わかっていること

2026年10月13日から14日にかけて、「東京23区で公営の火葬場を新設する方向で検討が始まった」というニュースが相次いで流れました。葬儀屋の私のところにも、さっそく「うちの区にもできるの?」「火葬料は安くなるの?」というお問い合わせをいただいています。

火葬場は、水道や電気、道路と同じように、暮らしを支える社会の土台(ニュースでは「インフラ」と呼ばれます)のひとつです。誰もがいつかはお世話になる場所だからこそ、他人事ではありません。今わかっていることと、まだわかっていないことを整理しました。

→ 結論:23区に小規模な公営火葬場を新しく作る検討が始まりましたが、場所も時期もまだ決まっていません。
報道では、稼働の目標は「5年程度」。今すぐのご葬儀には影響しません。
目次

1. 東京の火葬場は、全国でもめずらしい

全国の火葬場は、97%が市町村などの「公営」です。ところが東京23区は、9か所のうち7か所が民営で、明治時代から民間が火葬を担ってきた歴史が、今も続いています。名前を聞いたことのある火葬場も、あるかもしれません。

公営(2か所)
瑞江葬儀所江戸川区
臨海斎場大田区
民営(7か所):東京博善の6か所
町屋斎場荒川区
四ツ木斎場葛飾区
桐ヶ谷斎場品川区
代々幡斎場渋谷区
落合斎場新宿区
堀ノ内斎場杉並区
民営(7か所):そのほか
戸田葬祭場板橋区

都内の火葬のおよそ7割は、民営の火葬場が担っています。国の指導で、火葬場の新設は地方公共団体にしか認められていません。いまの民営火葬場は、その決まりより前から営業していたものです。ですから「新設」といえば、公営になります。

2. 10月13日・14日に何があったのか

10月13日(読売新聞・日本経済新聞の報道)

  • 特別区長会が、公営火葬場の新設に着手する方針を固めた。火葬炉5基程度の小規模な施設を、複数、分散して置く案で、稼働の目標は5年程度
  • 場所は火葬場のない区が有力。住宅との距離を決めた設置基準の見直しも視野に入っている

10月14日(東京都「火葬場に係る検討会」第2回)

  • 小規模な火葬場を新設する考えが示された。課題は用地の確保と住民の理解で、12月に中間まとめが出る見込み
  • 区長会は、対応できる自治体から検討を進める考え(NHK)

つまり、23区のどこかに1か所ではなく、手を挙げられる区から、小さな施設を少しずつという進め方になりそうです。場所、時期、火葬料などは、まだ何も決まっていません。

3. なぜ今、新設なのか ―火葬料の違い

理由は2つあります。

  • 火葬の需要が増え続ける:2024年度に都内で行われた火葬は約15万件。2040年には、今ある火葬場をすべて使っても追いつかなくなる見通し
  • 火葬料が高い:民営火葬場の料金が、この数年で大きく上がった

火葬料の動きを、都内の火葬の約7割を担う東京博善の普通炉(大人)で見てみます。

東京博善 火葬料(普通炉・大人)の推移
2020年まで
59,000円
2024年6月〜 90,000円に固定
90,000円
2026年4月〜(現在) 区民葬の取扱い終了とあわせて改定
87,000円
  • 2020年までの59,000円から、2024年の90,000円まで:31,000円、約5割の値上がり
  • 2026年4月に3,000円下がったが、同じ時期に区民葬(59,600円)の取扱いが終了

次に、お隣の神奈川県、川崎市と横浜市の市営斎場も含めて、火葬場ごとの料金を並べてみます。

地域 火葬場 火葬料(大人)
東京23区
公営
臨海斎場
(城南5区の区民)
44,000円
(骨壺込み)
瑞江葬儀所
(都民)
59,600円
(骨壺は別)
東京23区
民営
東京博善の斎場 87,000円〜
(普通炉。特別殯館は160,000円)
神奈川県
公営
川崎市営
(かわさき北部斎苑・南部斎苑)
市内 6,750円
市外 60,000円
横浜市営
(4斎場共通)
市内 12,000円
市外 50,000円

※大人の金額です。実際の費用は、各火葬場の最新の案内でご確認ください。

川崎市と横浜市の市民料金は、東京と比べてとても低い金額です。ただ、東京23区にお住まいの方は、どちらも「市外」の料金になります。それでも50,000〜60,000円で、東京博善の87,000円より低い計算です。

区民葬儀の助成もあります。東京博善は2026年3月末で区民葬儀の協定から離脱し、特別区は4月から23区共通の助成を始めています。

  • 対象:区民葬儀を利用し、指定の民間火葬場で最も低廉な火葬料を払った方
  • 上限:大人27,000円、小人15,000円

この助成は、区民葬儀の取扱指定店で葬儀を依頼した場合のみ受けられるもので、どの葬儀社でも使えるわけではありません。詳しくは、「ひらつか葬祭通信 vol.1」の第2章をご覧ください。

4. 城南エリアは「臨海斎場の増築」が先

ひらつか葬祭が対応する城南エリア(品川・港・目黒・大田・世田谷)にとって、より身近なのは臨海斎場の増築です。臨海斎場は、この5区が共同で運営する公営の火葬場です。

  • 火葬炉は現在10基。年間の火葬件数は、開場当初の約4,000件から、2023年度には約9,400件に増加
  • 運営する組合は、火葬炉を10基増やす方針を決め、2030年度の供用開始に向けて基本設計中

新設構想の「5年程度」と、ほぼ同じ時期です。

5. 今、ご家族に知っておいてほしいこと

新設は先の話ですが、「火葬場によって費用が変わる」ことは、今のご葬儀にそのまま当てはまります。確認しておきたいのは、次の3つです。

  • 火葬場の予約は、葬儀社が手配するのが一般的です。見積りで、「どの火葬場の、いくらの火葬料か」を確認する
  • 助成が使えるかどうかは、依頼する葬儀社によって変わります。見積りのときに確認する
  • 元気なうちの事前相談で、火葬場と費用のことも話しておく

亡くなった直後は、細かい確認がむずかしいものです。直後に何を決めればよいかは、「亡くなった直後、まず決めるのは『安置先』だけでいい」(ひらつか葬祭通信 vol.6)にまとめています。

まとめ

東京23区で、小規模な公営火葬場を新設する検討が始まりました。ただ、場所も時期も料金も、まだ決まっていません。大切なのは、ニュースに慌てず、「火葬場でも費用が変わる」と知っておくことだと思います。

ひらつか葬祭では、費用も宗教も問わず、事前のご相談を無料でお受けしています。12月に中間まとめが出ましたら、あらためてお伝えします。

※2026年10月14日時点の情報です。最新の内容は各機関の公式発表でご確認ください。

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料金表について

  • 臨海斎場・瑞江葬儀所は品川区議会資料(2025年7月現在)、東京博善は公式料金表(2026年10月確認)、川崎市は市の斎苑利用案内(2024年6月時点)、横浜市は市公式ページ(2026年10月6日更新)の金額です
  • 川崎市は12歳以上、横浜市は10歳以上を「大人」としています
  • お住まいの区や炉の等級で、金額は変わります
  • 収骨容器(骨壺)は、臨海斎場の金額には含まれ、瑞江は別です。川崎市と横浜市は確認できていません

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